存立危機事態と台湾の反応から読み解く2026年日本の安全保障

2026年の日本が直面する存立危機事態と国防の覚悟を象徴するビジュアルイメージ 国際問題・外交

2026年を迎え、私たちの周囲を取り巻く安全保障環境は、数年前には想像もできなかったほど緊迫した局面を迎えています。

ニュースをつければ「存立危機事態」という聞き慣れない、しかし重々しい言葉が飛び交い、それに対する周辺国の動きに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、最新の情勢や法的な仕組み、それに対する周辺国の反応、そして私たちの生活に及ぼす経済的な影響まで、私なりに徹底的にリサーチして整理してみました。

この記事を通じて、皆さんの疑問や不安が少しでも解消され、日々のニュースをより深く読み解くための一助になれば幸いです。それでは、詳しく見ていきましょう。

SUMMARY■ 本記事の要旨
  • Point存立危機事態の定義と自衛隊の権限を整理
  • Point台湾国内での歓迎と懸念に分かれる二極化した反応
  • Point中国による軍事演習や経済制裁などの多角的な報復
  • Point第2次トランプ政権発足に伴う日米台の新たな不確実性
RECOMMENDED■ こんな方におすすめ
  • 存立危機事態の法的要件を知りたい方
  • 台湾国内のリアルな世論と二極化を知りたい方
  • 生活への経済的影響や最新の安保議論を知りたい方

存立危機事態と台湾の反応を紐解く法的背景

私たちがまず向き合わなければならないのは、「存立危機事態」という法律の壁が、具体的にどのような場面で乗り越えられるのかという点です。

2025年末から続く一連の政治的決断は、決して感情的なものではなく、あくまでも2015年に成立した平和安全法制*1という確固たる法的枠組みに基づいています。

なぜ今、この概念が台湾情勢と結びついたのか、その論理的な構造を深く掘り下げてみましょう。

存立危機事態の定義と集団的自衛権の基本要件

存立危機事態の定義と武力行使の新三要件図解

まず前提として、存立危機事態とは何かを正確に把握しておく必要があります。

これは、2015年の平和安全法制で新設された事態区分で、日本が直接攻撃を受けていない状況でも、同盟国などの「密接な関係にある他国」が攻撃を受け、それによって日本の存立が脅かされる「明白な危険」がある場合に、自衛隊が武力を行使できる状態を指します。

いわゆる「集団的自衛権」の限定的な行使を認めるものです。

この認定を行うには、以下の「武力行使の新三要件*2」をすべて満たさなければなりません。

  1. 1 わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
  2. 2 これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
  3. 3 必要最小限度の実力行使にとどめること

(出典:内閣官房『平和安全法制の概要』)

これまでの議論では、台湾有事は重要影響事態*3にとどまり、自衛隊は補給や医療などの後方支援に専念するというのが一般的な解釈でした。

しかし、存立危機事態と認定されれば、自衛隊は米軍などと共に、直接的な戦闘行為、例えばミサイル迎撃や潜水艦への攻撃、機雷の掃海*4などを行うことが可能になります。

これは、日本の安全保障政策における最大のパラダイムシフトと言っても過言ではありません。

💡 MEMO

私たちが生活する上で重要なのは、この「明白な危険」が単なる軍事的な脅威だけでなく、エネルギーや食料の供給網(サプライチェーン)が完全に断たれるといった経済的な死活問題まで含まれている点です。政府が「台湾の封鎖」を理由にこの事態を持ち出したのは、まさにこうした私たちの日常を守るという名目があるからです。

■ 脚注解説:より深い理解のために
*1 平和安全法制:2015年に成立した、自衛隊の役割を拡大し集団的自衛権の限定的な行使を可能にした一連の法律。
*2 武力行使の新三要件:自衛隊が武力を行使するための法的条件。存立危機事態などの際、これらを全て満たす必要がある。
*3 重要影響事態:放置すれば日本への武力攻撃に至る恐れがあるなど、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態。
*4 機雷の掃海:海中に敷設された爆弾(機雷)を除去し、船舶の航行の安全を確保すること。

台湾有事は日本有事という理念の歴史的な変遷

「台湾有事は日本有事」。

この言葉は、今では誰もが知るフレーズとなりましたが、その歩みは平坦なものではありませんでした。

この理念の生みの親とも言えるのが、故・安倍晋三元首相です。2021年、安倍氏は台湾のシンクタンクが開いたフォーラムでこの発言を行い、当時の菅義偉政権やその後の岸田文雄政権に大きな衝撃を与えました。

それまでの日本政府は、1972年の日中共同声明*5に基づき、台湾問題を「中国の内政問題」とする立場を尊重し、あえて明確な関与を示さない「戦略的曖昧さ」を保ってきました。

しかし、中国の国防予算が急速に拡大し、空母「遼寧」や「山東」による太平洋進出が常態化する中で、台湾の自由と民主主義を守ることは、そのまま日本の南西諸島やシーレーンの安全を守ることに直結するという認識が、保守層を中心に急速に広まったのです。

安倍氏の没後も、この理念は自民党内のタカ派グループを中心に継承され、やがて日本の防衛予算の倍増計画や、反撃能力*6(敵基地攻撃能力)の保有という具体的な政策へと結びついていきました。

2025年に高市首相が誕生した際、この「政治的スローガン」はついに「国家の公式ドクトリン」へと昇華されました。つまり、個人的な見解から国家の意志へと、数年かけて着実に重みを増してきた歴史があるのです。

■ 脚注解説:より深い理解のために
*5 日中共同声明:1972年に日本と中国の間で署名された、国交正常化を宣言し台湾問題に関する立場を確認した文書。
*6 反撃能力:敵のミサイル発射拠点などを直接攻撃し、さらなる攻撃を防ぐための自衛能力。

高市首相による台湾封鎖への踏み込んだ発言

2025年11月、高市早苗首相(当時)が行った衆議院予算委員会での答弁は、まさに歴史を動かす瞬間でした。

彼女は野党議員の質問に対し、中国が台湾周辺を軍事的に封鎖し、船舶の航行を実力で阻止するような「海上封鎖*7」が発生した場合、それはエネルギー資源の9割を輸入に頼る日本の存立を脅かすものとして、「存立危機事態に該当し得る」との認識を明確に示しました。

この発言の凄みは、それまで政府が頑なに避けてきた「具体的な事象と法律の適用」をセットで答えた点にあります。

これによって、中国側は「日本は台湾問題に口を出すだけでなく、実力行使をする覚悟を固めた」と理解せざるを得なくなりました。

高市氏は「曖昧さがかえって中国の誤算を招き、戦争のリスクを高める」という論理で一貫していました。自分たちの「手の内」をあえて明かすことで、侵攻を思いとどまらせるという、高度でリスクを伴う抑止の賭けに出たわけです。

💡 POINT

高市発言のポイントと波紋

  • 論理の明確化:エネルギー供給の遮断=国民の幸福追求権への侵害というロジックを確立。
  • 抑止力の誇示:「何があっても日本は動かない」という中国の期待を粉砕。
  • 国内の分断:現実的な防衛議論が進む一方で、周辺地域での緊張を懸念する声も激化。
■ 脚注解説:より深い理解のために
*7 海上封鎖:特定の港湾や沿岸への船舶の出入りを武力によって阻止し、物流や軍事行動を遮断すること。

台湾民進党が歓迎する戦略的明確化と抑止力

台湾民進党の歓迎と国民党の懸念を示す対比図解

高市発言を受け、台湾の与党・民主進歩党(民進党)は、かつてないほどの熱烈な歓迎の意を示しました。

頼清徳政権にとって、日本がここまで明確に「台湾防衛は自国の存立に関わる」と言及したことは、長年孤独な戦いを強いられてきた台湾にとって、暗闇に差し込んだ一筋の光のようなものでした。

民進党の幹部たちは、「日本と台湾は同じシーレーンを共有する運命共同体である」と強調し、日本の決断を「地域の平和と安定に寄与する勇気ある行動」と絶賛しました。

台湾メディア『自由時報』などは、連日のように日本の動向を好意的に報じ、日本との軍事的な連携、例えば情報の共有や潜水艦技術の協力など、より踏み込んだ関係構築を求める論評が溢れました。

彼らの視点では、日本が明確な意志を示すことで、侵攻のコストが跳ね上がる、つまり「抑止力」が機能すると考えているのです。

野党国民党が主張する中国刺激と戦争のリスク

一方で、台湾の最大野党・中国国民党(国民党)の反応は、民進党とは対照的に冷ややかな、あるいは強い危機感を伴うものでした。

国民党は伝統的に「一つの中国」を巡る中国側との対話を重視しており、外部勢力、特に日本やアメリカが強く関与することを極端に嫌います。

彼らの主張を一言で言えば、「日本は火に油を注いでいる」というものです。

馬英九元総統などは、高市氏の答弁を「日本の軍国主義的なナショナリズムの復活であり、台湾を危険な戦場に引きずり込む無謀な行為だ」と厳しく批判しました。

国民党支持層の間では、日本の姿勢が中国を激怒させ、結果としてミサイル演習が激化している現状への不満が噴出しています。

彼らが恐れているのは、台湾が「捨て石」にされてしまう、いわゆるエントラップメント*8(巻き込まれ)のシナリオです。

■ 脚注解説:より深い理解のために
*8 エントラップメント(巻き込まれ):同盟国の行動によって、自国が望まない紛争や戦争に引きずり込まれるリスク。

二分される台湾世論と日本への複雑な信頼感

政治家たちの激しい応酬の裏で、台湾の一般市民の心は非常に複雑に揺れ動いています。

私が現地の世論調査やSNSの反応を追いかけて感じたのは、日本に対する深い「信頼」と、現実に迫りくる戦争への「恐怖」が、矛盾したまま共存しているということです。

若い世代を中心とした層は、日本の毅然とした態度に勇気づけられ、「日本がいざという時に助けてくれるなら、自分たちも戦う準備をしなければならない」という意識が高まっています。

しかしその一方で、子育て世代や高齢層の間では、中国による経済制裁や、度重なるミサイル演習によって株価が急落したり、物流が滞ったりすることへの不安が日増しに強まっています。

存立危機事態への台湾の反応は、単なる政治的な賛否にとどまらず、人々の生活に暗い影を落としているのです。

⚠️ CAUTION

台湾の世論は決して一枚岩ではありません。日本人が「台湾の人はみんな喜んでいる」と勘違いしてしまうのは危険です。私たちの決断が、現地の友人たちを苦境に立たせている側面があることも、私たちは誠実に受け止める必要があります。

シーレーン防衛と日本の存立に関わる経済的影響

台湾海峡封鎖による経済的影響図解

最後に、なぜ日本が「存立危機事態」という極めて重い言葉を台湾に結びつけたのか、その究極の理由であるシーレーン防衛について解説します。

地図を広げてみれば一目瞭然ですが、台湾海峡とその周辺海域は、日本にとって文字通りの「生命線」です。

中東から運ばれてくる原油や、世界各地からの食料、工業製品を積んだ巨大なタンカーやコンテナ船の多くが、この狭い海域を通過して日本に届きます。

もし、中国が台湾を封鎖した場合、エネルギー価格が数倍から数十倍に跳ね上がり、深刻な電力不足に陥り、スーパーの棚からは食料が消え、物流は麻痺します。

これが、法律で定義されている「国民の幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」の具体的な中身です。

こうした経済指標への影響については、こちらの記事『GDPとは簡単に言うと何?最新の日本順位と2026年の予測』で詳しくまとめています。

存立危機事態の認定は、私たちの「当たり前の日常」を守るための最後の手段なのです。

存立危機事態と台湾の反応に及ぼす周辺国の影響

物語は日本と台湾の間だけで完結するものではありません。

2026年現在、この問題は中国の猛烈な報復と、再登板したトランプ大統領率いるアメリカの思惑が複雑に絡み合う、巨大な地政学的チェス盤のような様相を呈しています。

中国の軍事演習正義使命と激しい外交的な威圧

中国による軍事的挑発演習と経済的報復ビジュアル

日本の「存立危機事態」発言に対し、中国は予想を遥かに上回る規模で、かつ攻撃的なリアクションを見せました。

2025年後半、中国人民解放軍は台湾全土を完全に包囲する形で、大規模軍事演習「正義使命2025」を突如として開始しました。

これは過去の演習とは次元が異なり、台湾周辺に多数の弾道ミサイルを撃ち込むだけでなく、実際に日本の排他的経済水域(EEZ)*9内にも着弾させるという、極めて挑発的なデモンストレーションでした。

北京の外交部は連日、「火遊びをする者は必ず火傷を負う」と日本を名指しで批判し、日中関係は国交正常化以来、最悪の氷河期に突入しています。

■ 脚注解説:より深い理解のために
*9 排他的経済水域(EEZ):沿岸国が水産資源や鉱物資源の探査・開発について優先的な権利を持つ、海岸から200海里以内の水域。

第2次トランプ政権の誕生と米国の戦略的変化

第2次トランプ政権の「アメリカ・ファースト」戦略と台湾政策

2025年1月に発足した第2次トランプ政権の動向は、この議論に不透明な影を落としています。

ドナルド・トランプ大統領は、1期目と同様に「アメリカ・ファースト」を徹底しており、同盟国に対しても「自国の安全は自国で守るのが筋だ」というビジネスライクな態度を貫いています。しかし、こうした状況の中で、2025年末に米国のスタンスを再定義する大きな動きがありました。

それが、2025年12月に打ち出された「台湾関係法(TRA)*10の強化」です。

トランプ政権が主導したこの法改正は、長年続いてきた米国の「戦略的曖昧さ」を実質的に葬り去り、台湾への武器供与の迅速化や軍事協力の枠組みを法的に一段高いレベルへと引き上げるものでした。

これにより、トランプ氏個人の「ディール好き」という性格を、米国の国内法という「制度」が縛る形となったのです。

米国の主な動向(2025年後半〜) 具体的な内容 日本への影響
台湾関係法(TRA)の強化 武器供与の迅速化と安全保障協力の義務化 米国の介入が確実視され、日本の存立危機認定の根拠が強まる
トランプ大統領のディール姿勢 中国との交渉材料として台湾・日本を利用 経済的な妥協を迫られるリスクの増大
日米共同作戦計画の具体化 自衛隊と米軍の統合司令部の連携強化 「巻き込まれ」のリスクと「抑止力」の向上が同時に進行

日本は、この米国の法的強化という後ろ盾を得て強気に出ている部分もありますが、同時にトランプ氏がいつ「中国との巨大な取引」を優先して私たちの期待を裏切るか分からないという、「戦略的な不透明感」の中で綱渡りの舵取りを強いられています。

■ 脚注解説:より深い理解のために
*10 台湾関係法(TRA):米国の国内法で、台湾への防衛用装備品の提供や台湾の安全保障に対する米国の関与を定めたもの。

訪日客激減や禁輸措置など中国による経済的報復

高市首相の「存立危機事態」への言及後、中国政府は「安全上の懸念」を理由に日本への団体旅行を制限しました。しかし、国内ではこれが「オーバーツーリズム(観光公害)対策」として、むしろ歓迎される側面を生み出しています。

欧米や東南アジアからの観光客が増加したことで、マナーの向上や混雑の適正化を実感する声も増えています。

経済的な実害についても、日本のレジリエンス*11(回復力)が証明されつつあります。海産物への禁輸措置に対し、アメリカや東南アジアへの販路を急速に開拓し、リスク分散型の輸出体制が整いつつあります。

しかし焦る中国は、自衛隊機に対して火器管制レーダー*12を照射するなど、現場での危険なエスカレーションを招いています。

■ 脚注解説:より深い理解のために
*11 レジリエンス:外的な衝撃や困難に対して、折れることなく適応し、回復していく力(強靭性)。
*12 火器管制レーダー:ミサイルや砲弾を目標に命中させるために、対象を追尾し情報を送るためのレーダー。照射は攻撃の前段階とみなされる。

日本国内の自公連立の軋轢と今後の安保議論

自公連立の解消と自維体制への移行、南西諸島防衛マップ

「存立危機事態」という重い決断の足元では、四半世紀続いた自民・公明の協力関係が崩壊するという地殻変動が起きていました。

公明党が連立離脱を表明したのは2025年10月の高市総理選出直後でした。離脱の引き金は安全保障ではなく、「政治とカネ」の問題政治資金規正法*13の再改正)に対する自民党の消極的な姿勢でした。

公明党が去った後、首班指名選挙*14を乗り切るため、自民党が新たなパートナーに選んだのが日本維新の会でした。維新は核共有*15や防衛力の抜本的強化を主張しており、この「自維連立」の成立によって、安保政策はかつてないスピードで加速。

連立内の「ブレーキ役」がいなくなったことで、高市総理の踏み込んだ発言がストレートに世界へ発信されるようになったのです。

■ 脚注解説:より深い理解のために
*13 政治資金規正法:政治団体の収入や支出を透明化し、国民の監視下に置くことで政治活動の公正を確保するための法律。
*14 首班指名選挙:国会において、内閣総理大臣を国会議員の中から指名するための選挙。
*15 核共有:核兵器を保有しない国が、同盟国の核兵器の運用や意思決定に関与・協力する安全保障上の枠組み。

沖縄や南西諸島における基地強化と地元への影響

地図の上で「存立危機事態」が語られるとき、現場となるのはいつも沖縄であり、先島諸島*16の人々です。

与那国島や宮古島ではミサイル発射車両が公道を走る光景が日常となりました。政府の「抑止力強化」という説明に対し、地元からは「基地があるからこそ攻撃の標的になる」という激しい反発が渦巻いています。

シェルター建設が進められる一方で、基地周辺での抗議活動も絶えません。国家の大きな論理と、そこに暮らす人々の切実な命の叫び。この二つの正義が激しく衝突し、引き裂かれているのが今の沖縄の現実です。

詳細は別記事『台湾有事で危ない県はどこ?』もあわせてお読みください。

■ 脚注解説:より深い理解のために
*16 先島諸島:沖縄本島よりさらに南西に位置する宮古列島、八重山列島の総称。台湾に非常に近い地理的特徴を持つ。

よくある質問(FAQ)

Q存立危機事態が認定された場合、私たちの電気代や物価はどうなりますか?
ANSWER台湾海峡周辺が封鎖された場合、日本のエネルギー供給(原油・天然ガス)の約9割が通過する航路が遮断されます。これにより、電気・ガス料金の数倍規模の高騰や、物流麻痺による食料品・日用品の深刻な不足が予測されます。存立危機事態の認定は、こうした「国民生活の根底からの崩壊」を防ぐための法的措置です。
Q台湾有事で自衛隊が動く際、日本国内でもサイバー攻撃やテロのリスクはありますか?
ANSWER極めて高いと言わざるを得ません。現代の紛争は「ハイブリッド戦」と呼ばれ、物理的な武力行使と並行して、発電所や金融システムへのサイバー攻撃、国内潜伏工作員による攪乱活動が想定されます。政府は「経済安全保障推進法」に基づき対策を強化していますが、個人レベルでも情報の真偽を見極めるリテラシーが求められます。
Q第2次トランプ政権が「台湾を見捨てる」ディール(取引)を行う可能性は?
ANSWERトランプ大統領の「ビジネス志向」からそのリスクは常に指摘されていますが、2025年末の「台湾関係法(TRA)の強化」により、米国のコミットメントは制度化されました。ただし、米国は「日本が主体的にリスクを負うこと」を介入の条件にする傾向が強く、日本の覚悟が米国の行動を繋ぎ止める鍵となっています。
Q台湾の人々は、自衛隊が参戦することに対して本当に全会一致で賛成しているのですか?
ANSWERいいえ、記事内でも触れた通り二分されています。与党民進党支持層は抑止力の向上として歓迎していますが、野党国民党支持層は「日本が中国を不必要に刺激し、台湾を戦場にする」と批判的です。日本側の発信が台湾国内の分断を深めている側面があることには注意が必要です。
Q存立危機事態が認定されたら、すぐに「徴兵制」が導入されるのでしょうか?
ANSWER現時点の憲法解釈および法整備において、徴兵制の導入は想定されていません。自衛隊は高度に専門化されたプロフェッショナル集団であり、現代戦において未経験の民間人を即座に戦地へ投入する合理的メリットも乏しいためです。むしろ議論の中心は、民間輸送力の徴用や、インフラ協力要件にシフトしています。

存立危機事態と台湾の反応から見る未来の展望

日本が「戦争当事者」になり得るリスクと主権国家としての歩み

2025年から2026年にかけて起きた一連の出来事は、日本が「誰かに守ってもらう国」から「自らの意志で地域を守る国」へと変わろうとする脱皮の痛みのようです。

日本が台湾の存立を自国の存立に結びつけた以上、中国は日本の介入を前提とした軍事計画を立て、私たちはそのリスクを背負い続けることになります。

しかしこれは、私たちが自らの国のあり方を自分たちで決める、真の主権国家としての歩みを始めたのだと捉えたいと思っています。

💡 POINT

今回の記事の振り返り

  1. 法律の運用次第で、日本が明日にも「戦争当事者」になり得る法的地平に立ったこと。
  2. 台湾の人々は日本を頼りにしているが、同時に緊張にも怯えていること。
  3. 中国は軍事・経済の両面で報復を仕掛けてきており、私たちの生活もその戦場であること。
  4. 唯一の同盟国であるアメリカも、自国の利益次第で動く不確実な存在であること。

極めて重要なのは、こうした「複雑で痛みを伴う真実」から目をそらさないことです。

この記事が、これからの日本、転換点に立つ台湾との未来を考えるための一助になれば幸いです。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

【免責事項】本記事は2026年1月時点の公開情報を基に構成されています。安全保障や国際法に関する判断は非常に複雑であり、個別の事案に対する解釈は異なる場合があります。正確な情報は専門家のアドバイスや公的機関の発表をご確認ください。最終的な判断は、読者の皆様の自己責任において行われますようお願い申し上げます。
CONCLUSION■ 本記事のまとめ
  • 存立危機事態は、武力行使の新三要件のもと、集団的自衛権の限定行使が可能
  • 認定により自衛隊は後方支援を超え、機雷掃海などの直接戦闘が可能になる。
  • シーレーン封鎖はエネルギー供給を絶ち国民生活を根底から覆す明白な危険。
  • 台湾世論は日本の関与への期待と、戦争に巻き込まれる懸念で激しく二分。
  • 中国は演習「正義使命2025」や経済的報復を通じて日本への威圧を強化。
  • 第2次トランプ政権は法的関与を強めたが、大統領の交渉術という不確実性が残る。
  • 国内では自公連立解消と維新協力により防衛政策の転換が加速した。
  • 日本は自らの意志で地域を守る、真の意味での主権国家としての転換点にある。

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